アレクサンダーテクニック(テクニーク)は、名前は聞いたことがあるもののどんなものか知らなかったので、この本を読んでみました。
アレクサンダー・テクニックの使い方
芳野香:著
アレクサンダーテクニックは、病気や怪我を治す「治療」が目的ではなく、自分のからだの使い方の癖に気づき適切なからだの使い方を学ぶ「教育」が目的でその結果症状が改善される、だそうです。
できないこと(例えば、ピアノが弾けない人が弾き方を習うとか)ではなく、日常的にできてはいるけど自分の知らない悪い癖がついていて(例えば、パソコンを使うときに猫背になる癖がついている)、それがからだに悪影響を及ぼすのなら(例:頭痛になる)、その自分の癖に気づき改善していく、ということのようです。
いま「PC作業時の姿勢が頭痛の原因」というわかりやすい例を自分で作って挙げましたが、実際には何が原因かわからないけど辛い症状がおきていて困っているという場合に依頼されることが多いようです。
確かに自分もそういう経験がありました。
(整体の)仕事が忙しくなってくると自分の首がものすごく痛くなることがありました。
寝違えてしまったように、振り向けないし、痛くて動かせなくなるのですが、なぜそうなったのかがわからない。
けど、よくよく考えたら、自分のからだの使い方が原因でした。
体の硬いお客さんが来たときに、自分もがんばって「力」でその硬いコリに対抗していたのです。
その時に自分の肩(首)をすくめて力む癖があり、がんばって力を入れれば入れるほど、自分の首に負担をかけていました。
そのことに気づき、それをしないように気をつけてからは、首が痛くなることもめっきり減りました。
何か困ったことが起きたとき、日常生活・習慣化した行動のなかにその原因があるということは、自分の行動しだいでそれを改善できるということです。
誰かに施術してもらって辛い症状が治るのはいいですが、誰かに施術してもらわなければ治らないのも困りものですから、それを知るだけでもすごく安心できるはずです。
自分にもお客様にも、困った症状が起きたときに習慣化した行動が原因だろうなとは思うも具体的には何か特定できないことが多いので、アレクサンダーテクニックについて書かれたこの本をとても興味深く読んでいました。
以下、この本の中で気になった部分を抜粋します。
「トラブルシューティング」にいそしむことだけが改善の手段ではなく、むしろ表面的にはトラブルと見なされない「できてしまう」けれど「なんだか変だなあ」とおぼろげに感じているような事象の中に「からだの使い方」の改善のための膨大なヒントが潜んでいる。
例えば、あるクライアントは「すぐ寝違える」「たっぷり寝たはずなのに、朝には身体がこわばっていて、疲れが取れない」ということに悩んでいました。「どうやら寝ているのに力が入っている」ということは薄々自覚していましたが、どうやって力を抜いていいのかわからずにいました。確かに寝ていて意識がない状態で力を抜くことを意図するのはとても難しいことです。しかし「意識がないのに力を入れることができている」ということは「無意識」(やっているつもりのない行動)にこそヒントがあると考えたほうが自然でしょう。レッスンでは、昼間起きていて行うような動作の中で我知らず行っている「無意識の力み」(かなり頻繁に、かなり力を入れていたことが判明)を具体的に自覚し、それを改善していくことで「寝入りがスムーズになった」「ぐっすり眠れた感じがして、起きるときにつらくない」というふうに睡眠に充実感が出るようになりました。
他人とのかかわりのなかで「私が<わたし>で居づらい」思いをして苦しむ方はいます。自分を「守るため」に、ちょっとした嘘を(自分にも、他人にも)つくことが「くせ」になっているひともいます。それゆえ身体的にも、感情的にも「判断の基準」がわからなくなってしまうこともあるようですし、「守る」ためとはいえ、「うそつき」もやはりつらいようです。
身体に力を入れ続けることは、それ自体が防御であり、自分を守る作業でもありました。しかし、たくさん力を入れれば自分の安全を保障できるというものでもありません。力を入れ続けることによる防御がその役割を終え、今までのやり方が今の自分には合わないと感じたとき、「からだの使い方」を学ぶことを通して今の自分が見えてくることがあります。
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