NHKのドラマに「ごちそうさん」というのがあります。
このドラマをいつも見ているわけではないのですが、印象に残ったシーンがあったのでブログに記します。
大正時代の街の洋食屋。
腕に自身のある料理人は本格的な洋食を客に出すが、洋食が珍しい時代からか、評判はよくない。
しかし、まかないに出しているケチャップライスとオムレツを出したら大好評であった。
料理人は本格的な料理を出すことを絶対だと思っていたので、まかない料理を出すことには抵抗があったのだが、客(である子供たち)の純粋に喜ぶ顔を見て、料理人としての本質を思い出すのである。
これを見て、自分にも共感できるところがありました。
自分はアロマオイルトリートメントやエサレンボディワークを生業にしています。
「本格的」というにはおこがましいですが、今まで習ってきたことや自分で得てきたことを大事に施術をしているつもりです。
しかし、それがお客さんが望んでいることとは限りません。
僕が提供するものとお客さんが望むものが一致する場合もありますが、完全一致ではなく部分一致のときもあるし、全然合っていないときもあると思います。
ドラマの料理人は、「洋食はフォークとナイフで食べるものだ」と決め付けていたので、使い慣れない客が箸を要求しても断ります。
「パンじゃなくてご飯を」という要求も断ります。
見た事も聞いた事も食べたことも無い味の料理に馴染めないでいる客に対して、本当の味がわからないのかと嘆きます。
そして、憤慨した料理人は「自分の味がわかる客だけ来ればいい」と開き直ります。
では、自分の場合はどうでしょう。
「エサレンは自分の心や体を感じながら受けて欲しい」と思うのは私の勝手で、受け手のお客さんはそんなことより、しっかり効かす強めのマッサージを望んでいるのかもしれません。
「このお客さんはストレスがたまっているようなので、鎮静系のアロマを使おう」と思っていても、そのお客様はその香りが好きでないかもしれません。
ダイナミックなストレッチも、お客さんによっては「何をやられるか不安だ」「そんなプロレス技みたいなの怖い」「股関節を開くのには抵抗がある」と拒否感をもつかもしれません。
自分もこの料理人と同じようなことをしていたのかもしれません。
ドラマの最後に、料理人は「自分は食べ終わった後の笑顔が見たくて料理を始めたんだ」と思い出します。
自分も同じで、施術はお客さんが喜んでくれるためにしているつもりです。
決して自分の独りよがりではいけません。
ドラマに例えて言うなら、「本格的な料理を出したい」「本当の洋食を知ってもらい、食べてもらい、満足してもらいたい」。しかし「本格的な慣れない洋食より、日本風にアレンジしたもののほうが受け入れてもらいやすい」かもしれないし、「アレンジしたからといって本質がなくなるとも限らない」。
15分のテレビドラマからそんなことを学ばせてもらいました。
[3回]
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